飲食店でのポンコツエピソード1

ここ数年で急激に全国展開を果たした某有名喫茶店チェーンにて。
私の住む地域では、喫茶店文化、特に「モーニング」という、
地域に根付いた伝統がもはや国教のように崇められている。

モーニングとは、コーヒーなどのドリンクを1杯注文すれば、
トーストやゆで卵、サラダなど、軽い食事が付いてくるサービスだ。
朝の喫茶店が混雑しているのは、お得感を感じやすいこのサービスのおかげだろう。

さて、とある日のこと、友人と歌舞伎観賞という雅なイベントに向かう朝を迎えた。
緊張と期待で胸を高鳴らせながら、劇場近くの喫茶店に足を踏み入れる。
「文化の香り漂う歌舞伎と、喫茶店でモーニング」というこの取り合わせ、どこか高尚に思える。

店員さん:「ご注文をお伺いします」

私:「えっと……モーニングAでお願いします」

友人:「私もモーニングAで」

店員さん:「お飲み物はどうなさいますか?」

友人:「ミルクシェイクで!」

私の心の中(えっ!?朝からシェイク!? いや、友人よ、なぜそこに迷いがないのだ……)

私:「……お水でいいです」

店員さん&友人:「………???」

友人:「いや、ドリンク頼まないとモーニング付かないよー(苦笑)」

私:「あっ……そう、そうでした!!すみません、コーヒーで!」 

この瞬間、「高学歴なのに頭悪い人」の烙印が、また一つ押された気がした。

言い訳をさせてほしい。
私が育った地域は都会ではなく、喫茶店文化が浸透していなかった。
さらに、私の幼少期は朝から優雅に喫茶店で過ごすなどという経験とは無縁だった。
私にとって「朝喫茶店でモーニング」という行為は、
大学進学後に都会で初めて知った、いわば異文化交流の一環である。

「ドリンクを頼まないとモーニングが付かない」という初歩的なルールすら、
私の脳内にはインプットされていなかったのだ。
言い換えれば、モーニング文化の中では私は新参者であり、
学歴の威光など何の役にも立たない未熟者だった。

それ以来、私は意識的にドリンクを先に選ぶようにしている。

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