ストレートで旧帝大に入学し、ストレートで卒業。
そのまま大学院に進学し、修士課程もストレートで修了。
「順風満帆」「エリート」「高学歴」
おそらく、そんな言葉が世間の評価だろう。
だが、私は頭が悪い。
その自覚は高校生の頃からあった。
成績は良かった。
テストでは上位に入り、周囲からは「頭良い人」と見られていた。
けれど、その裏側は単なる「記憶力」に頼り切っただけの勉強だった。
問題集を覚える。答えを丸暗記する。
それだけで点数が取れる世界。
考えることも、応用することも、全くと言っていいほどできなかった。
進学校の高校という環境で感じていた違和感は、大学に進学してさらに強まった。
周りには、本当に頭の良い人間が溢れていた。
彼らは議論し、問題を掘り下げ、自分の考えを形にする力を持っていた。
私はどうだろう?
何一つできないまま、ただ目の前の課題をこなすだけだった。
成績もいまひとつ、振るわなかった。
高校生の頃から薄々感じていた「頭悪い」という自覚は、大学で確信に変わった。
高学歴という肩書きはあるが、中身は空っぽ。
私は「高学歴なのに頭が悪い人」として、この矛盾を抱えながら生きている。