劣等感の塊

私は、頭の良い人に対して強い劣等感を抱いている。

議論の場で鮮やかに話を展開し、核心を突く人。
難しい話を噛み砕いて理解し、瞬時に的確な意見を返せる人。

私はそういう人たちを前にすると、言葉を失う。
必死に何か考えようとするけれど、頭は重たく鈍いままだ。

「どうしてあんなふうに考えられるんだろう」
「あの人たちは何が違うんだろう」

考えれば考えるほど、自分の無力さばかりが浮き彫りになる。
私はいつも誰かの言葉を真似るだけ。
人の結論を後追いするしかできない。
自分から何かを生み出す力なんてない。

できる人たちに囲まれるたび、比較の地獄に引きずり込まれる。
頭の良い人たちは、まるで別次元にいるようだった。

何度も劣等感から抜け出そうとした。
論理的な思考を鍛えようと本を読み漁った。
でも、周りに追いつくどころか、自分の無能さを再確認するだけだった。

無理をして「できる人」を装ったこともある。
無駄に意見を言い、わざと難しい言葉を使ってみたこともある。

でも、そんな虚勢はあっさりと見抜かれる。
無理に背伸びをするほど、足元は不安定になり、最後は必ず崩れる。

見栄を張った自分を振り返るたび、深い自己嫌悪に陥る。
結局、「できる人」にはなれず、「できない自分」を直視するしかなかった。

日々、劣等感は棘のように心に突き刺さる。
「私は何もできない人間だ」という思いが、抜けない痛みとなって私の中に居座る。

周りとの差を意識すればするほど、劣等感は肥大化する。
そして、その重みに押しつぶされそうになりながらも、私はまた無理に背伸びをしてしまう。

結局、何も変わらない。

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