方向音痴

家族5人の中で、私だけは道を覚えることができない。
家から15分以内の範囲でも、何度も通っているはずの祖父母の家でも、正確に記憶できない。

学校では、必要な知識は人よりも簡単に記憶できた。
試験で一定の成果を上げることもできたが、現実の空間認識となると、どうしてもその記憶は役に立たない。
どれだけ頭に情報を詰め込んでも、道順はすぐに抜け落ち、迷子になる。

他の家族は、一度通っただけで道を覚え、地図を頭の中に描くことができる。
しかし、私にはそれが全くできない。
家族で最も高学歴なのに、だ。

このような状況を見つめながら、私は自分の人生について考える。
どれだけ勉強しても、日常生活においてあると便利な感覚が欠けていることは否めない。
空間や状況を把握する力は、どうしても弱いままだ。

そして、最近気付いた。

方向音痴という性質は、単なる空間認識の問題に留まらず、私自身の生き方そのものを象徴しているのだと。
学歴という見せかけの優秀さと、実際に生き抜くための直感や判断力の欠如。
このギャップが、私を周りから取り残す原因なのだ。

方向音痴は、私の人生そのものだった。

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