気づけば、私はいつもできる人たちの中にいた。
勉強ができる、頭の回転が速い、場の空気を読み、正しい言葉を選べる。
そういう人間たちに囲まれて、私は劣等感をごまかしながら生きてきた。
高学歴と呼ばれる大学を出ても、その中で「頭が悪い自分」は決して隠せなかった。
答えのない問いに迷い、要領の悪さを笑われ、考えが浅いことに自分自身が先に気づいてしまう。
人の顔色を見て話すうちに、自分が何を考えていたのかも分からなくなる。
それでも私は、ずっと優秀な誰かになりたかった。
嫉妬して、羨んで、それをごまかすために努力を重ねた。
しかし、どれだけ頑張っても、心の奥には「私の頭は足りない」という確信だけが残る。
私は何かを成し遂げるための「才能」ではなく、それを傍らで見て苦しむための「視力」を持って生まれたのか。
周囲の人間のまぶしさに狼狽えながら、人生は続いていく。