勉強に火がついた日

私は何の変哲もない中流家庭で生まれ育った。
都会から少し離れた、田舎とも言い難い、「程よい田舎」の出身である。

有難いことに、小学校時代はダンスや水泳、英語、習字、音楽教室と、
さまざまな習い事に通わせてもらい、何不自由のない、ごく一般的な生活を送っていた。

進路という観点で生活が変わり始めたのは、中学1年生の最初のテスト結果が出た頃だった。
私は特別意識することなくテスト勉強をし、そこそこの点数と順位を取った。

しかし、父親は1つだけ納得しなかった。
それは「数学の点数が90点を超えなかった」ことだ。

夕食中に叱られ、テスト範囲の問題集をやり直すよう命じられた。
悔しくて泣きながらやった。

「こいつを見返してやりたい」

そんな思いから、私の大学受験への旅、あるいは人生の迷走が始まったのだった。

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